港湾におけるDXの推進に向けた取組
港湾におけるDX
・港湾の整備

港湾の整備では、工事予定地の調査に始まり、設計、施工、供用後の維持管理まで、多数の関係者が長期間携わります。
見えない海の中に構造物を作る港湾整備にとって、関係者間でデータやイメージを共有しやすい環境づくりは、あらゆる効率化に必要不可欠です。
・港湾整備のためのDX

海の深さを調査する深浅測量の自動処理や、3次元設計データの利用などのデジタル化により、設計や現場状況を共有しやすくなり、ICT施工や検査の遠隔化などDXが進められています。
工事現場ではタブレットを用いてリアルタイムで海底の施工状況を確認したり、クラウドから品質管理を行うことも、珍しいことではなくなってきています。
DXの事例(1) 港湾整備BIM/CIMクラウドの構築・運用
「港湾整備BIM/CIMクラウド」の構築により、港湾整備に必要な調査結果や3次元設計モデル(BIM/CIM)・施工記録などのデータがクラウドにて一括管理され、場所や機器を問わないデータの登録・閲覧・抽出を実現。
・BIM/CIMとは

従来は、設計や施工のためには紙の図面での作業が普通で、平面的な図面から立体的な完成形をイメージしたり、施工計画を作成したりするには多くの時間と熟練の技術が必要でした。
BIM/CIMは、3次元で設計を行うことで、構造物の完成形を可視化でき、設計・施工・維持管理の全てで、同一のデータを利用することができるようになります。
※BIM/CIM: Building(Construction) Information Modeling
・BIM/CIMクラウド
- 調査、設計、施工、維持管理の各段階において作成される3次元モデルのデータを、各事業者や受発注者がクラウド上で共有できるシステム。
- モバイル機器や施工中の機械からも最新の3次元データを登録・閲覧することが可能となり、監督・検査の効率化を実現。
- データ形式の標準化により、ソフトウェアによらず3次元データをビューアで確認可能。

DXの事例(2) マルチビームデータクラウド処理システムの構築
従来は深浅測量データの処理に約1週間必要でしたが、システムの構築によりリアルタイムで処理・確認が可能になります。
・マルチビームソナーとは
海底に向けて扇状にビームを発信し、一度に広範囲を精度良く測深できる測量機器。
一方でデータ量が膨大になることから、ノイズ処理(電気的、浮遊物、魚群等による異常値の排除)や図面作成などのデータ処理や解析に時間がかかります。
その期間中は再測量が必要な場合に備えて作業員や機材を拘束せざるをえないこともあります。
・マルチビームデータクラウド処理システム
マルチビームデータクラウド処理システムは、船上や帰港後の事務所から送信されたマルチビームソナーによる測量データを、クラウド上でリアルタイムで処理・解析し、図面を作成可能です。
データ処理・解析の手間や、作業員や機材の拘束時間を大幅に短縮できます。
