格点式ストラット工法は、鋼管杭・鋼管矢板とその頭部を結合する上部工で構成される根入れ式ラーメン構造を、工場で製作された補剛部材を現地で接合して補強するものです。本工法は適切に部材を組み合わせることにより、岸壁や護岸、防波堤等に用いることができます。徳山下松港の新南陽地区岸壁(-12m)でも採用されており、従来の岸壁構造に比べて使用鋼材が少なくなり、経済的となっています。
提供:格点ストラット工法研究会
製錬所、製鉄所において原材料に含まれる不純物を取り除くため、溶媒を投入し抽出目的の金属と不要な物質の分離を行っています。この際発生する「不要な物質が溶媒に溶け込んだもの」をスラグと言います。
銅水砕スラグとは銅を製錬するときに発生するスラグを水で細かく砕いた砂状のものを言います。
2001年度の防波堤整備においては、地盤改良工(SCP)の材料に海砂の代替として、石炭灰造粒物を使用しました。
この石炭灰造粒物は、海砂の品質に劣らず、汚泥浄化効果もあるそうです。
このような、リサイクル材を使用したコスト縮減や資源保護を考慮した整備を行いました。
通常の防波堤を設置すると海水の入れ替えが行われにくくなり、水質の悪化が懸念されます。そこで防波堤の下部に海水の通り道を設け、港の内と外の海水の交換ができる「下部透過式防波堤」を設置することで、海水の透過性の向上や水産資源への配慮を行っています。
三田尻中関港では、下部に海水の通り道を設けて、海水の交換ができる環境に配慮した下部透過式防波堤を設置しています。この防波堤の外側は波の反射を低減する目的で柵のような造りの縦スリット直立消波構造になっており、航行船舶の安全にも配慮しています。
海浜の保全対策として離岸堤・突堤・段階式護岸等による工法が主流でしたが、これらの工法は景観を阻害したり自然の機能を低下させるなどの問題を抱えていました。そこで、自然に優しい工法として、砂浜の下部に水はけの良い透水層を設け、砂浜にうち寄せた波を透水層へ素早く導くことにより地下水位を下げ海浜を安定させる「透水層設置による海岸保全」の工法が開発されており、光市虹ヶ浜では山口県によって現地試験が行われました。
干潟や浅場は、多種多様な生物が生息するとともに、生物にとって有害な物質を除去し、酸素など有用なものを生産する自然浄化機能を持っています。そこで海底を掘り下げた際に出る「浚渫土(しゅんせつど)」を有効活用して人工の干潟・浅場を造り、海洋生物の増加や鳥類の飛来など、自然と共存した港湾の整備を進めます。
岩国港の室の木地区では山口県と岩国市の協力によって干潟の整備をしています。また周南市大島地区では、周南市と協力してアサリ増殖場などになる人工干潟の整備を進めています。
良好な自然環境の保全及び新たな環境創造を積極的に図る目的で三田尻中関港防波堤基部に魚礁ブロックを設置しています。
なお、魚礁ブロックの設置により付着動物・藻類及び魚類が数多く集まり、防波堤全体が餌場や生育の場として機能していることを確認しました。
港によっては、航路や泊地が土砂で埋まり、船舶の航行に障害となる埋没現象が発生しています。この原因としては、泥土やシルトなどの粒子の細かい底質が、波や流れによって運ばれ、航路や泊地に堆積することが考えられます。
そこで現地調査(深浅測量や流況・濁度観測等)、現地実証実験を行い、浮遊泥の数値シミュレーションによって、埋没量予測などの調査・研究を行い、その結果をもとに、航路・泊地の周りに潜堤を設置することにより、埋没対策として効果を上げています。
台風などの荒天時に、主として波の作用を受けた、海底表面の底泥層が、水を含んで軟らかくなり、波がおさまった後に流動液状の薄い層(フルード・マット)となって航路内に流れ込もうとしますが、潜堤を設置することにより堰止めの効果が働いて航路への進入を防止します。
広域的なリサイクル施設の立地に対応した静脈物流ネットワークの拠点となる港湾のことで、全国で21の港が指定を受け、山口県内では徳山下松港と宇部港が指定されました。
徳山下松港では高炉スラグ、石炭灰等のセメント原料化リサイクルなどの事業が行われています。さらに、ごみ焼却灰のセメント原料化リサイクル、ペットボトルを主とするポリエステル製品の原料化リサイクル等の事業が展開中です。
宇部港では高炉スラグ、石炭灰等のセメント原料化リサイクルや鉄屑のリサイクル、廃プラスチックのガス化リサイクルなどの事業が行われています。さらに、建設木くずのエネルギーリサイクルなどの事業が計画されています。
これら全国各地から海上輸送により循環資源を受け入れ、港湾と一体的に活用することにより更なる循環社会の構築が期待されます。
油谷港では、現在整備中の北・西防波堤で「捨石傾斜堤」を設置しています。
国定公園地域内に設置する防波堤として、また地場産業である水産業への影響を考慮して、防波堤の形状や構造を決定しています。
北と西の防波堤を分離して通水性を確保するとともに、捨石傾斜堤とすることで海水の透過性の向上や海藻類の定着が期待できます。