トップページへもどる
利用規約 サイトマップ
Home > 瀬戸内海の環境修復計画 > 湾・灘別の環境特性 > 課題特性一覧
index 紀伊水道 大阪湾 播磨灘 備讃瀬戸 備後灘 燧灘 安芸灘 広島湾 伊予灘 別府湾 周防灘 豊後水道 響灘 課題特性一覧
  湾灘別の環境特性及び課題特性一覧
 
 

紀伊水道 【特筆すべき環境情報】
海猫及び海猫繁殖地弁天島(和歌山県指定天然記念物)、和歌川・吉野川河口のハクセンシオマネキ(危急・危険種)
吉野川河口のツクシガモ(危急・危険種)、沼島のウミウ渡来地(兵庫県天然記念物)
蒲生田のアカウミガメ産卵地(徳島県指定天然記念物)、勝浦川河口のヒロクチカノコ(絶滅危惧・絶滅寸前種)
吉野川、紀ノ川、和歌川の河口干潟を中心にシギ・チドリが飛来

【環境特性及び課題】
海水交換は良好であるが地形が複雑で水深が深いため浅海域が少ない。このため藻場は比較的多いが干潟が少ない。
背後からの流入負荷はやや高いが、海水交換が良好なため水底質の汚濁域は少ない。
水産動物、海藻類を中心に漁獲量が減少傾向にある。
クルマエビとその他エビ類は1950年代前半と1970年代前半にピークが見られ、長期的には漸減傾向を示している。これらの漁獲量変動パターンは紀伊水道固有のものであることから、埋立などによる浅場の消失やそれに伴う流況などの変化がエビ類の棲息場の減少や生残率の低下をもたらしたものと考えられる。
大阪湾 【特筆すべき環境情報】
男里川のシオマネキ(危急・危険種)
南港野鳥園、男里川、大津川の河口干潟、浜甲子園を中心にシギ・チドリが飛来

【環境特性及び課題】
S48年以降の瀬戸内海の埋立面積の約半分が集中しており、藻場・干潟及び自然海岸がほとんどない。
流入負荷が高く、湾奥部を中心に貧酸素域の占める割合が大きく、赤潮の発生も多い。
魚類の漁獲量が多いが、全体的には漁獲量は減少傾向にある。
ガザミ類は1950年代と1970年代にピークを形成している。前者は埋立などによって藻場や浅場が消失し、産卵・保育・成育の場が失われたことが原因で急減した。後者は外海などからの資源の供給で増加したが再生産の場がごく限られることにより減少したものと考えられる。
モガイは埋立などの影響で浅場の底質が泥化し、1960年代初めに資源量が急増したが、埋立の拡大などにより棲息場が失われ、また、環境がさらに悪化し、1970年代初めにかけて減少したものと考えられる。
播磨灘 【特筆すべき環境情報】
淡路島周辺のスナメリ(希少種)、ナメクジウオ(危急・危険種)、加古川河口のハクセンシオマネキ(危急・危険種)
加古川河口干潟、中島埠頭の干潟等を中心にシギ・チドリが飛来

【環境特性及び課題】
明石海峡を通して大阪湾の水質の影響を受けやすい。
開発が進み、藻場・干潟といった地形は少ない。
流入負荷は高くないが、上層CODの汚濁域、下層の貧酸素域及び底質の汚濁域の占める割合が大きく、海域中央部を中心に赤潮の発生件数も多くなっている。(他の海域の影響を受けやすい)
ハマグリ類は1960年代から1970年代に豊期があり、瀬戸内海における漁獲量減少期の一致から、高度成長に伴う水質の悪化が主要因と考えられる。
播磨灘はイカナゴの最大産卵場である備讃瀬戸から季節風によって拡散された流れイカナゴ(稚仔)の影響で瀬戸内海最大の漁場を形成している。漁獲量は現在最盛期(1970年)の約半分に減少したが、資源管理の成果でほぼ安定した状態にある。
備讃瀬戸 【特筆すべき環境情報】
カブトガニ繁殖地(国指定天然記念物)

【環境特性及び課題】
浅海域の占める割合が多く平均水深が瀬戸内海で最も浅い海域であるが、藻場・干潟の割合は大きくない。
流入負荷が高く、海域面積に占める上層CODの汚濁域((2mg/l以上)の割合は大きいが、下層の貧酸素域や底質の汚濁域の割合は小さい。
海砂利採取跡地が瀬戸内海平均に比べ多い。
自然景観資源、親水施設が瀬戸内海平均に比べ少ない。
クロダイは1960年代半ばと1970年代後半に漁獲量のピーク(2峰型)があり、燧灘と増加・減少時期が類似していることから、1960年代は埋立や海砂利採取による浅場の消失が、1970年代は獲り易い刺網・定置網の統数が増加したためと考えられる。
イカナゴは、海砂利採取などにより棲み場所である砂地の浅場が減少したため、再生産力が弱体化したものと考えられる。
モガイは1972年まで漸増し、その後急減し低水準が続いている。ハマグリ類やアサリ類の減少と入れ替わりに増加したが、埋立によって干潟・浅場が消滅し、市場価格の上昇による漁獲圧増大も加わって急減した。
備後灘 【特筆すべき環境情報】
スナメリクジラ回遊海面(国指定天然記念物、希少種)、ナメクジウオ生息地(国指定天然記念物、危険・危急種)
笠岡湾のハクセンシオマネキ(危急・危険種)、竹原市阿波島付近のアビ(指定野生生物種)
芦田川のハクセンシオマネキ(危急・危険種)、スナガニ(希少種)
松永湾の河口干潟でシギ・チドリの飛来が確認

【環境特性及び課題】
干潟が比較的多いが、減少傾向である。また、藻場は瀬戸内海平均に比べ少ない。
流入負荷は高くないが、底質の汚濁域がみられる。
海砂利採取跡地が瀬戸内海で最も多い。
海砂利採取によってイカナゴが棲息する砂地が減少し、備讃瀬戸からの流れイカナゴも減少したため、1980年代初期から漁獲量は漸減傾向となり、現在低水準が続いている。
燧 灘 【特筆すべき環境情報】
カブトガニ繁殖地(愛媛県指定天然記念物、絶滅危惧・絶滅寸前種)
姫浜海岸の前浜干潟、三豊干拓の河口干潟、加茂川、大明神川、新川河口干潟及び高須海岸等で、シギ・チドリの飛来が確認

【環境特性及び課題】
流入河川流量が瀬戸内海で最も少ない。沿岸域の開発は進んでいるものの、自然的な海岸線の割合は大きい。
流入負荷は瀬戸内海平均程度であるが、海域面積に占める水底質の汚濁域が大きくなっており、他の海域の影響を受けやすいと考えられる。
海砂利採取によってイカナゴが棲息する砂地が減少し、備讃瀬戸からの流れイカナゴも減少したため、1980年代初期から漁獲量は漸減傾向となり、現在低水準が続いている。
安芸灘 【特筆すべき環境情報】
アビ渡来群遊海面(国指定天然記念物)、竹原市吉名のカブトガニ(絶滅危惧・絶滅寸前種)

【環境特性及び課題】
水深は瀬戸内海平均よりやや浅く、島嶼部が多い海域である。
藻場や自然的な海岸は多いが、干潟が少ない。
流入負荷が低く、水底質環境は良好である。
ナマコ類とその他の貝類は、富栄養化が進むとともに1970年前後に漁獲量のピークを迎え、70年代の貧酸素水塊の発生とともに減少していった。
カキ類養殖は、貝毒プランクトンによる被害発生で、出荷量の自主規制と生産量調整が行われた。
広島湾 【特筆すべき環境情報】
川下・麻里布シラサギ渡来地(国指定天然記念物)、江田島のカブトガニ(絶滅危惧・絶滅寸前種)
八幡川のハクセンシオマネキ(危急・危険種)、スナガニ(県希少種)
松永湾、八幡川、御手洗川の河口干潟、小瀬川、太田川放水路の河口干潟を中心にシギ・チドリの飛来が確認

【環境特性及び課題】
閉鎖性が強い海域であり、流入負荷が高く水底質は湾奥部を中心に汚濁域の割合が大きくなっている。夏季には下層に貧酸素域がみられ、漁業被害を伴う赤潮の発生も多い。
浅海域の割合は比較的大きいが、現存する藻場・干潟の割合は小さい。消滅した藻場・干潟は他の海域より少ないが、1978年以前の埋立等により消滅したものが多いと考えられる。
底生生物の生息環境が悪く、貝類、水産動物の漁獲量が著しく減少している。
ナマコ類とその他の貝類は、富栄養化が進むとともに1970年前後に漁獲量のピークを迎え、70年代の貧酸素水塊の発生とともに減少していった。
カキ類養殖は、貝毒プランクトンによる被害発生で、出荷量の自主規制と生産量調整が行われた。
伊予灘 【特筆すべき環境情報】
重信川の河口干潟を中心にシギ・チドリの飛来が確認

【環境特性及び課題】
水深が深く浅海域の少ない海域である。また、干潟は少ないが藻場は多く、自然的な海岸も総延長の約7割を占めている。
藻場の消滅割合が大きい。
流入負荷が低く水底質環境は良好であるが、海砂利採取跡地が多い。
自然景観資源、親水施設ともに瀬戸内海平均より少ない。
別府湾 【特筆すべき環境情報】
守江湾のカブトガニ(絶滅危惧・絶滅寸前種)
守江湾(八坂川)、大在海岸の河口干潟を中心にシギ・チドリの飛来が確認

【環境特性及び課題】
閉鎖性が強く、水深がやや深い海域である。浅海域は少ないが、現存する藻場・干潟の割合は比較的大きい。
沿岸域の開発が進んでおり藻場・干潟の消滅割合が大きい。
流入負荷が高く、海域面積に占める水底質の汚濁域の割合が大きい。
貝類、水産動物の漁獲量が著しく減少している。また、総漁獲量も瀬戸内海平均に比べ少ない。
周防灘 【特筆すべき環境情報】
光のクサフグ産卵地(山口県指定天然記念物)、秋穂(吉敷郡)のカブトガニ、マゴコトガイ(絶滅危惧種・絶滅寸前種)、木屋川河口のカブトガニ(絶滅危惧種・絶滅寸前種)、厚狭川河口のカブトガニ、ワカウラツボ、クロヘタナリ(絶滅危惧種・絶滅寸前種)、曽根干潟のスグロカモメ、イチョウシラトリ、ムラサキガイ、アオギス、ハイガイ(絶滅危惧種・絶滅寸前種)、和間海浜公園のハマグリ(危急種・危険種)
曽根干潟の前浜干潟、中津海岸(東浜)の河口干潟、宇佐海岸(東浜)の干潟、田布施川、長浜海岸、高田・真玉海岸の河口干潟を中心にシギ・チドリの飛来が確認

【環境特性及び課題】
浅海域が広く分布しており、平均水深も浅い海域である。
藻場は瀬戸内海平均より少ないものの、干潟が多い。
流入負荷は低いが、海域面積に占める水底質の汚濁域の割合が大きく、赤潮発生件数も多い。
大規模な埋立も行われており、海砂利採取跡地も多い。
漁獲量は、貝類及び海藻類が瀬戸内海平均に比べ圧倒的に多く、水産動物類も瀬戸内海平均を上回る。逆に魚類の漁獲が少ないため、総漁獲量は瀬戸内海平均以下である。
ナマコ類とカレイ類は、富栄養化が進むとともに1970年前後に漁獲量のピークを迎え、70年代の貧酸素水塊の発生とともに減少していった。
コウイカ類は1950年代から漸減傾向にあり、産卵場や棲息場である藻場や浅場の減少と環境悪化などが重なり、回遊量が減少したものと考えられる。
豊後水道 【特筆すべき環境情報】
高島のウミネコ営巣地(大分県指定天然記念物)
番匠川の河口干潟、臼杵湾の前浜及び河口干潟を中心にシギ・チドリの飛来が確認

【環境特性及び課題】
平均水深が瀬戸内海で最も深く、海底地形が複雑で浅海域が少ない海域である。
干潟・藻場は比較的多いが、干潟の消滅割合が瀬戸内海平均より大きくなっている。
流入負荷が低く、水底質環境は良好である。
親水施設が瀬戸内海平均に比べ少ない。
響 灘 【特筆すべき環境情報】
壁島“ウ”渡来地(国指定天然記念物)

【環境特性及び課題】
外海に面しており海水交換は良好である。また、浅海域の割合も大きい。
干潟は少ないが、藻場の割合は大きい。
流入負荷は高いが、外海に面していることから水底質環境は良好である。ただし、底生生物相は良好とはいえない。
自然景観資源、親水施設ともに瀬戸内海平均より少ない。