業務内容

技術開発の取組

 中国地方の港湾は、日本海側では、砂・砂利、木材、石油などの建設資材やエネルギーの供給拠点として、瀬戸内海側では、鉄鋼、造船、化学、機械など基幹的な産業の一大集積地として、我が国の高度成長や地域経済を支えてきました。

 これからも経済を支え、発展していくため、5つの重点技術開発分野を定め、技術開発を推進しています。

Ⅰ.「国民の安全・安心の確保」のための技術開発

 南海トラフ地震や大型台風等、中国地方でも大規模な災害が発生する可能性があることから、高潮・高波等の災害に対しての被害を抑えるための設計や、発災時の救援・復旧活動に関する技術開発を進めています。


・災害対応への技術支援(救援物資の円滑な積込・迅速な航路啓開)

・高潮・高波災害の軽減技術の研究

・偶発波浪に対する防波堤の予防保全対策の研究


広島港海岸中央西地区(観音)
(高潮・高波による被害)

約2mの嵩上げし、高潮・高波による被害を軽減

広島港海岸中央西地区(観音)
(高潮・高波に対応した設計)

Ⅱ.産業の国際競争力と国民生活を支えるための技術

 日本の輸出入の99%以上(重量ベース、貿易統計)を担う港湾は経済の根幹を支えており、その中心となる国際バルク戦略港湾※等の主要な港湾では、更なる設備強化に高い技術力が必要です。効率的な設備強化のみならず、工事中でも港湾の利用に影響を与えないような、設計、施工方法を研究しています。


・既存施設の改良・更新技術の研究

・効率的・効果的な施工等の実施(i-Constructionの推進)

※国際バルク戦略港湾

バルク貨物(石炭や穀物等のばら積み貨物)を大型船により一括大量輸送することで、安定的かつ安価な輸入を実現するための拠点となる港湾。


徳山下松港
(国際バルク戦略港湾(石炭))

Ⅲ.「ストック型社会に対応した効率的・効果的な事業の実施」のための技術開発

岸壁や航路の増深に伴い発生する浚渫土砂※を有効活用し、干潟造成や環境修復に利用する技術開発を進めています。


・浚渫土砂の有効活用及び埋没検討手法の開発

・既存施設の改良・更新技術の研究

・効率的・効果的な施工等の実施(i-Constructionの推進)

※浚渫土砂

工事で海底を掘り下げる際に発生する土砂



浚渫土砂を活用した干潟創出

浚渫土砂の有効活用
・浚渫土砂の処分先が不足
・浚渫土砂の処分費用が必要
・干潟造成用の材料(土砂)の購入費用が必要

処分先の確保及び、処分・造成コストの低減、環境修復

潜堤構造の改良
・干潟に入れた土砂が流出しないように潜堤が必要
・軟弱な地盤では、潜堤の安定性を保つため
 地盤改良が必要
 →干潟造成用の材料(土砂)の購入費用が必要


地盤改良が不要となる構造、
潜堤材料を石からリサイクル材に変更する等、
築堤費用を低減
Ⅳ.「海洋立国の実現に向けた海洋政策の推進」のための技術開発

 船舶の大型化により、大水深での岸壁整備が求められるなど、高度な技術開発が求められています。

 また、海砂利の採取跡等、大水深へ確実に土砂を投入する技術の開発などを行っています。


・大水深における施工技術の研究

・海洋の開発を支援するインフラ技術の研究


大水深での土砂埋め戻し

大水深での埋め戻しを実施する場合、潮流により、
海中で埋戻し材が分離・濁りが発生する他、
想定する場所への投入が困難


潮流の影響を受けない施工方法、
濁りを生じない埋戻材の材料や配合
Ⅴ.「良好な港湾環境の形成」のための技術開発

 中国地方整備局では、瀬戸内海の環境や船舶航行に影響がある漂流物の回収を行っています。

 このための漂流物予測システムの開発や、藻場・干潟の環境に関する技術開発を進めています。


・沿岸生態系の形成と活用の研究(干潟造成)

・海上流出油等の対応の研究(ゴミの漂流予測システム等の開発)


漂流物予測システムの開発

潮流や気象を考慮し、
漂流物の行き先シミュレーションを実施。
広い海域のどこに漂流物があるか予測。



予測海域へ出動し効率的に漂流物回収を実施。


「中国地方における技術開発」について
詳しくは、中国地方の港湾の技術開発にかかる行動計画)https://www.pa.cgr.mlit.go.jp/gicyo/publish/