お知らせ

【報告】『令和7年度 第1回 実りある学舎(まなびや)』を開催しました


●演題  『浚渫土砂を活用した炭素貯留効果に関する研究』

  

 国土交通省 国土技術政策総合研究所

  港湾・沿岸海洋研究部 海洋環境・危機管理研究室 主任研究官    

        内藤 了二  氏


- 概 要 -

 有機物を多く含む浚渫土砂は、海面埋立処分場所の確保が困難となっている。一部の港湾では陸上処分も行われている。
 港湾機能を継続的に維持するためには、航路・泊地の浚渫の継続的な実施は必須であるが、浚渫土砂の活用先の多様化が課題となっている。
 造成干潟・藻場の基盤材や深掘れ埋め戻し材として、有機物を多く含む浚渫土砂を封じ込めることは、炭素貯留の役割を果たす可能性がある。
 この浚渫土砂の封じ込めが炭素貯留として効果的に機能するか否かは封じ込めた有機物が分解されずにどれだけ残るか(炭素残存率)に強く依存する。
 本研究は、有機物を多く含む浚渫土砂を干潟・藻場造成の基盤材、深掘れ埋め戻し材、埋立用材として封じ込めたことによる炭素残存率について現地観測及び室内実験を行い、炭素貯留効果の定量化に向けた検討を行った。
 この研究成果は、浚渫土砂に脱炭素(温室効果ガス排出削減)の観点での「付加価値」をつけることで、浚渫土砂の新たな活用方策の検討に貢献することができる。

 
 

 本講演では、港湾における浚渫土砂を活用した炭素貯留の研究背景、日本の港湾域における浚渫土砂を活用した炭素貯留のポテンシャルの考え方について説明があり、 特に、炭素貯留効果について初めて明らかにしたこと、港湾整備で発生する浚渫土砂を活用して造成されたブル―カーボン生態系(藻場など)が長期的な二酸化炭素の吸収源として機能する点で斬新なこと、 有機物を多く含む浚渫土砂の有効活用が炭素排出量をオフセットするための重要な要素であることの説明がありました。また、浚渫土砂を有効活用した際の炭素貯留量の推定に関して、徳山下松港大島干潟などでの現地調査の事例を挙げて、 具体的な造成干潟の浚渫土砂層における炭素量の調査結果、炭素残存率の推定について説明がありました。今後の社会実装に向けては、浚渫土砂の炭素残存率の推定、炭素貯留量の定量化が必要であり、 造成時に初期炭素量の密な測定と投入位置の施工記録を残すことが重要であり、発注者施工者の対応が必要であることが示されました。

 
 

講演会終了後には、参加者から
「浚渫土砂を活用した炭素貯留効果は、非常に興味深く、期待される取り組みと感じた。」
「施工時のCO2発生量を考慮することや、浚渫時の調査の重要性は、今後、発注者に提案するうえで参考になった。」
といった声が聞かれました。




■日 時:令和7年12月19日(金) 13:30~15:30

■場 所:中国地方整備局 広島港湾空港技術調査事務所 [ハイブリッド開催]

土木学会 継続教育(CPD)プログラム認定 JSCE25-1553〔1.7単位〕
CPDSプログラム(対面)認定 1033025〔2ユニット〕形態コード101-2(会場聴講者のみ対象)
CPDSプログラム(WEB)認定 1036383〔1ユニット〕形態コード403(WEB聴講者のみ対象)

詳細については、イベント情報の「実りある学舎」よりご覧ください。
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