お知らせ

【報告】『令和3年度 第1回 実りある学舎(まなびや)』を開催しました


ー テーマ ー

『中国地方における波浪観測の現状と課題』


ー 概 要 ー


 中国地方は、瀬戸内海側と日本海側とで、自然条件、社会・経済条件が大きく異なる。瀬戸内海側は、比較的静穏な海域であることから、化学・鉄鋼など多くの企業立地により我が国有数のコンビナートを形成している。また、瀬戸内海には100余りの有人島があるため、海上交通が生活航路として重要な役割を果たしている。他方、瀬戸内海沿岸は、台風による高潮・高波による被災を受けることもある。日本海側は、日本海特有の冬季風浪が厳しいため、やはり災害に強い社会基盤施設の整備が求められている。
 中国地方整備局では、鳥取港などで波浪観測等を行っており、港湾施設等の設計・施工の高度化に活用している。近年は、地球温暖化等により巨大な台風が来襲するなど、これまでに経験していない異常な気象・海象現象の発生が見られる。同時に、南海トラフの巨大地震による津波対策も重要な課題となっている。

 本講演では、早稲田大学 非常勤講師(株式会社エコー 常任顧問)永井紀彦 氏を講師にお迎えし、長年にわたる全国港湾海洋波浪情報網(ナウファス)の開発・改良・運用に取り組んで来られたご経験をもとに、気候変動に伴う波浪変化、最新の波浪観測技術、瀬戸内海や日本海の沿岸における波浪観測の現状と課題について、ご講演いただいた。



 講演会終了後には、参加者から
「普段何気なく活用しているナウファスの発展の歴史に加え、波の理論、計測・解析手法の詳細を知ることができ、非常に有意義な時間だった」
「洋上風力などの新しい施設に、欧州等の基準をそのまま適用することは合理性に欠けることを理解した」
「日本の海象条件に合わせた洋上風力発電の建設・運用技術の確立に、施工業者として携わって行きたい」
「今後のより効果的な海象データ取得のため、技術の研鑽に励まなければと感じた」
といった声が聞かれた。また、新型コロナウイルス終息後もWEB開催を希望する声が多く挙がった。



■講 師:早稲田大学 非常勤講師(株式会社エコー 常任顧問)
     永井 紀彦 氏

■日 時:令和3年6月3日(木) 14:00~16:00

■場 所:中国地方整備局 広島港湾空港技術調査事務所[WEB会議]

■土木学会継続教育(CPD)プログラム認定番号:JSCE21-0451

詳細については、イベント情報の「実りある学舎」よりご覧ください。
過去の開催内容を掲載しております。