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平成30年度 第2回 実りある学舎 「港湾における土砂資源管理と合理的な土砂処分場の考え方」

- テーマ -

 

 『 港湾における土砂資源管理と合理的な土砂処分場の考え方

 

- 概 要 - 

 

 港湾の機能を維持するための航路・泊地の浚渫をスムーズに実施するためには、浚渫土を処分する土砂                                   処分場の整備が不可欠である。

 

 土砂処分場の建設には多大な費用を要するため、浚渫土を利活用する技術の開発とともに、土砂処分場                                   の建設費用の低減さらには既存および新たに建設される処分場の効率的な利用が課題となっている。

 

 本講演では、広島大学大学院 工学研究科 教授 (広島大学 防災減災センター センター長)土田 孝 氏を                                   講師にお迎えし、粘性土の間隙比―圧密圧力モデルを用いて、浚渫土の液性限界及び初期含水比から浚渫                                   土の埋立後の体積変化を概算する手法を解析し、土砂処分場への投入量を適正に管理する方法をご紹介い                                   ただいた。

 

 港湾事業を実施していく上で土砂処分場は浚渫土を収める施設として不可欠な重要な施設にも関わらず、                                   港湾施設として位置付けられていないことが課題である。今後、土砂処分場をどの様に設計し、建設して                                   いくべきか、その留意点について考え方を整理し、設計マニュアルとして示すことを目的の一つとして研                                   究した成果についてご講演いただいた。

 

 講演内容は、港湾技術研究所時代からの、港湾における土砂処分場に関するこれまでの知見を整理し、                                   自重圧密解析を中心とした合理的な設計方法についてご説明いただいた。海成粘土である浚渫土砂を高含                                   水比の状態で圧密したときの間隙比と圧密圧力の関係は液性限界によって決まる関係(HWCL,高含水比                                   の粘性土の一般的な間隙比-圧密圧力のモデルと称する)に収束する傾向がある。

 

 さらに、初期含水比が小さい場合、間隙比と圧密圧力の関係はHWCLより下からスタートし圧密圧力が                                   十分大きいとHWCLに収束する。この性質から、液性限界と初期含水比を与えることで、さまざまな粘土                                   の間隙比と圧密圧力の関係を表現することができる。このモデルを利用すると、浚渫工法や揚土方法の影                                   響によって生じた初期含水比の影響が土砂処分場の最終容量に及ぼす影響を容易に計算できる。
 本研究では浚渫土の液性限界および初期含水比など様々な理論関係をグラフで示し、土砂処分場の必要                                   規模などの簡易推定ができる手法を紹介いただいた。 

 

 説明会終了後には、参加者から「初期含水比や液性限界等から、浚渫粘土の処分容量を予測できること                                   は非常に実用的な予測手法であると感じた」「粘土の圧縮特性に応じた土砂処分場の合理的設計を今後の                                   業務に活かしたい」といった声が聞かれた。

 

 また、今後聴講を希望するテーマとして「浚渫土の処理方法として埋立処理以外の技術開発、事例紹介                                   について」が挙げられた。