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平成30年度 第1回 実りある学舎 「流起式可動防波堤の河口部における津波減勢効果に関する検討」

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 『 流起式可動防波堤の河口部における津波減勢効果に関する検討 』

 

- 概 要 - 

 

 東北地方太平洋沖地震は、日本の観測史上最大規模のマグニチュード(Mw) 9.0最大震度7が観測                                   された。この地震による被害は「東日本大震災」と呼ばれ、地震に伴う津波により、関東・東北                                   地方の太平洋沿岸域において甚大な被害が生じた。

 

 本講演では、東日本大震災津波調査から見えるもの、津波防災施設の効果、流起式防波堤の河口                                   部における津波減勢効果についてご説明いただいた。

 

 講演では東日本大震災の被害の紹介の他、津波の起きるメカニズムや横浜における津波シミュレ                                   ーション動画による被害イメージ、歴史的な津波の紹介があり、設計に用いる津波の決定課程についてはご自身の研究所時代のエピソードも交えて説明された。

 

 重要港湾施設の湾口部には沖合防波堤が設置されていることが多く、釜石港では沖合防波堤の津                                   波の低減効果が確認されているが、開口部から侵入した津波による被害は、港湾や沿岸域のみなら                                   ず津波が河川を遡上することによって内陸深くまで及んだ。こうした遡上津波に対して水門が有効                                   だが、巨大津波が襲来した際に水門が損傷することが危惧されることから、河口の水門に作用する                                   津波波力を軽減させるために、電気等の動力および人間による操作の必要がない、津波の力で立ち                                   上がる防波堤(流起式可動防波堤)が計画され、実用化に向けた検討や実証実験が行われているこ                                   とが紹介された。

 

 流起式可動防波堤は普段、海底に置かれているが、津波が来ると波の力で自然に立ち上がり、津                                   波の威力を軽減する。実大スケール(高さ20m、幅60m)の1/33模型を用いた水理実験の結果によ                                   り、河口水門と流起式可動防波堤の距離が長いほど、波力の減勢効果が高くなることなどの実験結                                   果が動画や模型を交えて、イメージし易いように説明された。

 

 説明会終了後には、参加者から「津波防災全般を含めて、非常に分かりやすい講演で大変良かった」                                   「簡単な構造で津波を防ぐ工夫がなされており感心した」「学会に採用された演題であり、また、                                   実用化に向けた実験結果も交えた講演であり、有意義であった」といった声が聞かれた。 

 

 また、今後聴講を希望するテーマとして「港湾・海岸施設の補修設計(補強含む)及び施工法」や                                   「i-construction関係の話題」が挙げられた。