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平成25年度 第2回 実りある学舎 「南海トラフの地震を対象とした強震動評価へのSPGAモデルの適用」

テーマ
「南海トラフの地震を対象とした強震動評価へのSPGAモデルの適用」

 

 - 概要 -
 

 2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の発生を受け、南海トラフにおいても、従来よりも規模の大きいMw9.0程度の巨大地震を想定し、強震動評価が行われるようになってきた。その場合に用いられる震源モデルは、既往の強震記録を通じて、巨大地震への適用性が検証されたものでなければならない。

 

 講演者らは、既往の巨大地震において、大振幅のパルス状の地震波が観測されていることに着目し、これらを含む強震動を適切に再現することのできる震源モデルとして、強震動パルス生成域(SPGA)からなる震源モデル(SPGAモデル)を提案している。現時点では、海溝型巨大地震による工学的に重要な周波数帯域での地震動を一定の精度で計算できることが確認されている震源モデルはSPGAモデルだけである。構造物の耐震検討に用いる地震動を評価するための震源モデルとしてはSPGAモデルが適していると考えられる。

 

 講演者らは、このSPGAモデルを用い、東海から九州の港湾を対象として、南海トラフの地震(Mw9.0)に対する強震動評価を実施している。SPGAモデルを用いた強震動評価においては、SPGAの位置の設定が一つの課題である。この点に関して、事前の予測が困難であるとの立場から極めて多くのケースについて検討を行い、50%非超過、90%非超過等となる地震動を求めた。その際、一般的に利用可能な計算機資源および現実的な計算時間の範囲内で強震動評価が可能となるよう計算上の工夫を行った。この方法を、東海から九州にかけての16港湾18地点に適用した結果について報告する。

 

 南海トラフの巨大地震を想定した場合の50%非超過の地震動は、地震の規模、予測震度のいずれの点でも内閣府による想定と調和的であるため、一般的な構造物の耐震検討に用いる地震動として適していると考えられる。