中国地方整備局
港湾空港部採用案内

観光交流・環境

方向性Ⅳ 中国地域の個性ある資源を活かした港湾と背後地とが連携する観光・交流機能の強化

  • 戦略Ⅰ 多島美等の世界的に認められる豊富な観光資源を活かしたクルーズ拠点の形成
  • 戦略Ⅱ 特色ある観光資源、島嶼部や空港・鉄道とのネットワークを活かした広域周遊観光の推進
  • 戦略Ⅲ 島嶼部特有の美しい自然環境・歴史・文化を活かした観光促進による離島地域の活性化
  • 戦略Ⅳ Withコロナ時代の「新しい生活様式」に対応した体制の確保と観光・交流拠点の形成
観光需要の取り込みによる持続的発展と地域のブランド価値向上のため、特色ある中国地域の観光資源、島嶼部や空港・鉄道とのネットワークを活かし、みなとを核とした広域周遊観光の推進を図ります。

みなとを核とした広域周遊観光

画像:みなとを核とした広域周遊観光

方向性Ⅴ 港湾・物流活動のグリーン化と日本海・瀬戸内海の美しい海域環境の保全・再生・創造

  • 戦略Ⅰ 持続可能な社会の実現に向けた港湾・物流活動のグリーン化
  • 戦略Ⅱ 比類のない美しさ・豊かさを誇り後代に継承すべき日本海・瀬戸内海の海域環境の保全・再生・創造
将来的に更なる成長が見込まれるアジア地域を中心とした観光需要を取り込み、地域の交流人口の拡大と経済成長につなげるため、クルーズの振興を図ります。

海域環境の保全・再生・創造の具体的な取組

リフレッシュ瀬戸内

地域住民による海浜の清掃美化活動を通じ美しい瀬戸内の保全 画像:佐木島海岸
佐木島海岸

海岸・砂浜保全

浚渫土砂を有効利用したサンドリサイクルや突堤・潜堤等の整備、予測を重視した順応的な砂浜管理等による海岸・砂浜の保全 画像:潜堤(三隅港海岸)
H30.4撮影 潜堤(三隅港海岸)

干潟造成、ブルーカーボン生態系の活用

自然浄化機能の向上による海域環境の保全、親水性向上による自然と共存した豊かな生態系ネットワークの形成
画像:干潟造成(徳山下松港大島干潟)
干潟造成(徳山下松港大島干潟)
画像:カブトガニ
写真提供:広島県 カブトガニ

浮遊ごみ回収

瀬戸内海に浮遊するごみの回収による船舶の安全性確保や海域環境の保全
画像:浮遊ごみ回収

海域環境の保全・再生・創造の波及効果

地域資源の魅力向上

海水浴やマリンスポーツ、散策、観光名所として多くの人が活用
画像:ベイサイドビーチ坂
ベイサイドビーチ坂
画像:白砂青松(室積海岸)
写真提供:広島県 白砂青松(室積海岸) 写真提供:光市

地域の産業振興

豊かな地域資源を活かした特色ある産業の振興
画像:江田島のカキ養殖
江田島のカキ養殖 写真提供:広島県
画像:ベニズワイガニの水揚げ
写真提供:広島県 ベニズワイガニの水揚げ

港湾・物流活動のグリーン化のイメージ

画像:港湾・物流活動のグリーン化のイメージ

自然と共生するみなと

環境保全・修復による美しい自然の再生

瀬戸内海は、美しい景観や豊かな自然を持ち、昭和9年に我が国最初の国立公園に指定されましたが、高度成長期には沿岸部への工業立地と人口集中により、有機物や窒素など富栄養塩が海へ流入し、瀬戸内海は急速に富栄養化しました。これにより赤潮が発生し魚介類の大量死などの被害を引き起こし、また、産業や生活の場として遠浅の海が埋め立てられ、それに伴い、干潟・藻場など自然の浅場が大幅に減少しました。干潟・藻場は水質浄化機能を有しており、世界有数の閉鎖性水域である瀬戸内海の水質改善に重要な役割を果たしているため、美しい自然の再生には、干潟・藻場の保全や修復が必要です。
 また、瀬戸内海では、建設資材として利用することを目的として、海底に堆積する海砂の採取が行われてきました。平成18年に全面禁止されるまで、瀬戸内海全域で採取された海砂は各県の統計では約6億m3とされています。海砂の採取は海底の砂場の減少による生物の生息環境の悪化をもたらし、漁獲量の減少などの悪影響が生じており、海砂採取跡の環境修復が課題となっています。
 このため、以下の施策を推進します。

施策1 干潟・藻場の再生

瀬戸内海における干潟・藻場は、高度成長期以降、大きく減少してきました。干潟・藻場は多様な水産生物の生息の場であるとともに、水質浄化など自然と共生する豊かな沿岸域環境の創造に重要な役割を果たしています。
 このため、平成16年度に策定された「瀬戸内海環境修復計画」では、平成16年度より概ね20年間で、瀬戸内海全体において、昭和50年代以降に消失した干潟・藻場の約60%の面積に当たる600haを修復することが定められたところです。そして、令和元年で456haが再生されている状況です。概ね目標を達成するペースで進捗しており、これからも水産庁等関係行政機関と連携して、藻場の再生の促進に努めます。(図1)
 中国地方整備局では、瀬戸内海の環境修復に関する情報の公開・共有化を通じて、実際の取り組みの効率化を図ることを目的として「瀬戸内海の環境データベース」を運営し、瀬戸内海の環境情報を提供しています。
画像:干潟・アマモ場等の修復面積
「瀬戸内海の環境データベース」
画像:競争力のある港づくり干潟整備
競争力のある港づくり干潟整備

施策2 海砂採取による深掘跡の修復による海洋環境の改善

 航路の浚渫で発生した土砂を活用した深掘跡の修復技術を確立するため、備讃瀬戸の海域(岡山県味野湾の海砂採取跡地)において実証実験を行いました。海砂採取により砂場が消失した海底に、水島港の浚渫事業で発生した土砂を投入して砂場を修復する実験で、砂質土系浚渫土砂とシルト系浚渫土砂の活用について検討を行いました。シルト系浚渫土砂の改質方法については室内配合試験を踏まえ、改質材として建設副産物である製鋼スラグとマグネシウム系及び石膏系固化剤の混合材を選定し、高低差1m程度の微妙な凹凸地形の場所において現地施工を行い、その後生物の定着状況を調査するためのモニタリングを行いました。実証実験の結果、H19.8~H25.1の間で23回の調査を行い、31種類の生物を確認することが出来、その中で清浄な砂質を好むナメクジウオを毎回、確認することが出来ました。
 また、石炭灰造粒物を用いた海洋環境改善方策に関する実験として、広島湾奥部の海田湾において、粘性土系の浚渫土砂の覆土材として活用した場合の環境改善効果等の取り組みを実施し、結果として大きく3つ〈生物の増加、富栄養化の抑制、悪臭の抑制〉などの効果があることが分かりました。海田湾の結果を得て、ヘドロ化した海底においても石炭灰造粒物による底質改善を行うことで環境改善が可能であると実証され、この結果は閉鎖性海域の底質改善のみではなく、様々な港湾事業への応用が可能と考えられます。
画像:海砂採取による深掘跡の修復による海洋環境の改善1
画像:海砂採取による深掘跡の修復による海洋環境の改善2
画像:海砂採取による深掘跡の修復による海洋環境の改善3
画像:海砂採取による深掘跡の修復による海洋環境の改善4
画像:海砂採取による深掘跡の修復による海洋環境の改善5

施策3 自然体験・環境学習の推進

自然とのふれあいに対する市民のニーズが高まる中、海辺は自然と触れ合える貴重な場です。このため「海辺の自然学校」等の自然環境を活かした自然体験・環境学習を推進します。
 また、瀬戸内・海の路ネットワーク推進協議会では、海浜の清掃活動という“誰もが参加しやすい活動”を通じて“美しい瀬戸内を守っていく”ことを周知する目的として、市民ボランティアによる海浜清掃活動である「リフレッシュ瀬戸内」を実施しております。
 「海辺の自然学校」及び「リフレッシュ瀬戸内」では、実施にあたってはボランティアの協力を得ており、今後、関係行政機関やNPOと連携し自然体験・環境学習を実施していきます。
画像:自然体験・環境学習の推進1
画像:自然体験・環境学習の推進2

静脈物流ネットワークの強化による循環型社会の形成

施策1 廃棄物埋立護岸の整備

近年、都市化の進展に伴い、都市部では廃棄物の最終処分場を内陸に確保することが困難となり、海面処分場に依存せざるを得ない状況となっています。一方、東アジアの経済成長による需要の拡大などを背景として、臨海部では用地造成による新たな土地の確保に対するニーズが高まりつつあります。
 このような状況を踏まえ、廃棄物の最終処分場を確保するとともに、臨海部の用地確保のニーズに対応するため、環境に配慮しつつ、廃棄物埋立護岸の整備を推進します。
画像:廃棄物埋立護岸の整備

地域環境への負荷の低減

地球温暖化への対応を進めるため、平成17年度に発効した「京都議定書」において、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減目標が定められており、物流分野においても温室効果ガスの排出を抑制するための取り組みが求められています。特に、トラックなどの陸上輸送を二酸化炭素の排出量の少ない海上輸送へ転換するモーダルシフトの推進が大きな課題となっています。
 また、港湾においても温室効果ガス削減に向けた様々な対策が求められています。港湾に係留中の船舶は、船舶内の作業のために必要な電力を船舶の補助動力機関のアイドリングにより確保していることが多くなっています。船舶の補助動力のアイドリングは、陸上からの電力供給に比べ効率が悪く、二酸化炭素(CO2)の排出量が多くなっており、係留中の船舶からの温室効果ガスの削減を図る必要があります。また、酸性雨の原因となる窒素酸化物(NOX)や硫黄酸化物(SOX)なども排出しています。さらに、沿岸域は風・波・潮汐・海洋の温度差など豊かな自然エネルギーが存在しており、これらの自然エネルギーの生産拠点に適しています。このため、港湾への太陽光発電や風力発電など自然エネルギーの導入への取り組みが必要です。 このため、以下の施策を推進します。

施策1 港湾における温室効果ガス排出削減の推進

港湾は産業集積地に近接しておりエネルギー配送の面で有利であり、騒音・振動等による問題が比較的少ないため、自然エネルギーの生産拠点として高いポテンシャルを有しています。このため、技術開発などを推進し、港湾への太陽光発電や風力発電など自然エネルギーの積極的な導入を図ります。現在(2020年時点の情報)、中国地方の港湾における風力発電は益田港に1基設置されています(図1)。
 また、港湾に係留中の船舶のアイドリングストップを推進するためには、港湾内に船舶に電力を供給するシステムを構築することが必要です。
 しかしながら、このような船舶への電力供給システムはこれまで統一されておらず、今後、国際的な標準化の動向を踏まえつつ、導入を検討していきます。また、アイドリングストップの推進には船舶側の対応も必要となります。
画像:港湾における温室効果ガス排出削減の推進1
画像:港湾における温室効果ガス排出削減の推進2
国土交通省における地球温暖化対策について