国土交通省
中国地方整備局 港湾空港部

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  自然と共生するみなと
  環境保全・修復による美しい自然の再生
 瀬戸内海は、美しい景観や豊かな自然を持ち、昭和9年に我が国最初の国立公園に指定されましたが、高度成長期には沿岸部への工業立地と人口集中により、有機物や窒素など富栄養塩が海へ流入し、瀬戸内海は急速に富栄養化しました。これにより赤潮が発生し魚介類の大量死などの被害を引き起こしました。また、産業や生活の場として遠浅の海が埋め立てられました。それに伴い、干潟・藻場など自然の浅場が大幅に減少しました。干潟・藻場は水質浄化機能を有しており、世界有数の閉鎖性水域である瀬戸内海の水質改善に重要な役割を果たしているため、美しい自然の再生には、干潟・藻場の保全や修復が必要です。
 また、瀬戸内海では、建設資材として利用することを目的として、海底に堆積する海砂の採取が行われてきました。平成18年に全面禁止されるまで、瀬戸内海全域で採取された海砂は各県の統計では約6億m3とされています。海砂の採取は海底の砂場の減少による生物の生息環境の悪化をもたらし、漁獲量の減少などの悪影響が生じており、海砂採取跡の環境修復が課題となっています。
 このため、以下の施策を推進します。
 
 瀬戸内海における干潟・藻場は、高度成長期以降、大きく減少してきました。干潟・藻場は多様な水産生物の生息の場であるとともに、水質浄化など自然と共生する豊かな沿岸域環境の創造に重要な役割を果たしています。
 このため、平成16年度に策定された「瀬戸内海環境修復計画」では、平成16年度より概ね20年間で、瀬戸内海全体において、昭和50年代以降に消失した干潟・藻場の約60%の面積に当たる600haを修復することが定められたところです。
 中国地方においては、これまで干潟の修復を進めてきており、平成23年度末現在で、昭和53年から平成3年までに消失した干潟243haのうち、62haの干潟を修復したところです(図1、図2、図3)。しかしながら、まだ全体の26%に過ぎず、今後も引き続き干潟の修復に取り組んでいきます。また、併せて、水産庁等関係行政機関と連携して、藻場の再生の促進に努めます。
 さらに、中国地方整備局では、瀬戸内海の環境修復の実現を目指し、環境情報の流通ネットワークの中心となる機関として「瀬戸内海環境情報センター」を設立しました。「瀬戸内海環境情報センター」は、これまで省庁や地方、教育・研究機関等で個別に取得されていた環境情報等を集約し、瀬戸内海の環境情報提供を実施しています。
 
図1 再生された干潟(尾道糸崎港海老地区)
図2 これまでに消失した干潟と修復目標
図3 中国地方における干潟整備箇所(平成24年度)※予定含む
 現在、航路の浚渫で発生した土砂を活用した深堀跡の修復技術を確立するため、備讃瀬戸の海域(岡山県味野湾の海砂採取跡地)において、実証実験を行っています。海砂採取により砂場が消失した海底に、水島港の浚渫事業で発生した土砂を投入して砂場を修復する実験で、現在、砂質土系浚渫土砂とシルト系浚渫土砂の活用について検討を行っています。シルト系浚渫土砂の改質方法については室内配合試験を踏まえ、改質材として建設副産物である製鋼スラグとマグネシウム系及び石膏系固化剤の混合材を選定し、高低差1m程度の微妙な凹凸地形の場所において現地施工を行い、その後生物の定着状況を調査するためのモニタリングを行っています。今後、実証実験の結果を踏まえ深堀跡の修復技術を早急に確立して、事業化を図り、海洋環境の改善に取り組みます(図4-1、図4-2、図4-3)。
 また、石炭灰造粒物を用いた海洋環境改善方策に関する実験として、広島湾奥部の海田湾において、粘性土系の浚渫土砂の覆土材として活用した場合の環境改善効果等の取り組みを実施しています。現在は現地施工後の海域環境改善技術の室内試験及びモニタリング結果等のとりまとめ、海域環境改善効果の評価、水質シミュレーションの活用方策の検討及び手引き書の作成を行っています(図4-4、図4-5)。
 自然とのふれあいに対する市民のニーズが高まる中、海辺は自然と触れ合える貴重な場です。このため「海辺の自然学校」等の自然環境を活かした自然体験・環境教育を推進します。
 また、瀬戸内・海の路ネットワーク推進協議会では、海浜の清掃活動という“誰もが参加しやすい活動”を通じて“美しい瀬戸内を守っていく”ことを周知する目的として、市民ボランティアによる海浜清掃活動である「リフレッシュ瀬戸内」を実施しております。この活動は過去20年間(平成5年度〜24年度)を通じて、延べ173万人の方にご参加いただき、約1万7千トンのゴミを回収するに至りました。
 「海辺の自然学校」及び「リフレッシュ瀬戸内」では、実施にあたってはボランティアの協力を得ており、今後、関係行政機関やNPOと連携し自然体験・環境学習を実施していきます。
 さらに、中国地方整備局には海洋環境整備船「おんど2000」(144総トン)を所有しています。「おんど2000」は、海洋に浮遊するゴミなどの回収を行っており、引き続き海洋環境の保全に努めます。

図5 自然体験・環境学習の様子(左:「リフレッシュ瀬戸内」による清掃活動、右:「海辺の自然学校」の様子)
  静脈物流ネットワークの強化による循環型社会の形成
 循環型社会形成のためには、廃棄物の発生を抑制し、廃棄物の再使用、再資源化する3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進する必要があります。リサイクル資源は通常の貨物と比較して運賃負担力が小さいため、一旦ストックヤードで保管して、一定量のリサイクル資源を確保し、海上輸送を活用した大量一括輸送を行うことにより、輸送コストを低減することが重要です。このように効率的な輸送体系を構築し、静脈物流*1)ネットワークを形成することが必要です。
 また、再使用・再資源化が困難な廃棄物を適切に処分するための最終処分場を確保する必要があります。近年、都市化の進展に伴い、廃棄物の最終処分場を内陸に確保することが困難となっており、生活環境の保全のため、海面処分場を確保する必要があります。
このため、以下の施策を推進します。
 
※1) 使用済みの製品や廃棄物の輸送。
 循環型社会の実現のためには、リサイクル資源の輸送や集積のため、海上輸送を活用した効率的な静脈物流ネットワークを形成することが必要です。現在、中国地方では、徳山下松港と宇部港がリサイクルポート*2)に指定され、廃プラスティックや廃タイヤをセメントの原料や高炉の燃料として再利用するなど、地域の静脈物流ネットワークの拠点となっています。
 今後、引き続きリサイクルポートの整備を進めるとともに、関係行政機関や民間企業と連携し、リサイクル産業の育成・振興を図るための各種手続きの弾力化や新たなリサイクル技術の開発・事業化などを促進します。
 
図1 リサイクルポートのイメージ
※2) 広域的なリサイクル施設の立地に対応した静脈物流ネットワーク拠点となる港湾で国により指定されるもの。
 近年、都市化の進展に伴い、都市部では廃棄物の最終処分場を内陸に確保することが困難となり、海面処分場に依存せざるを得ない状況となっています。一方、東アジアの経済成長による需要の拡大などを背景として、臨海部では用地造成による新たな土地の確保に対するニーズが高まりつつあります。
 このような状況を踏まえ、廃棄物の最終処分場を確保するとともに、臨海部の用地確保のニーズに対応するため、環境に配慮しつつ、廃棄物埋立護岸の整備を推進します
 
図2 広島港における廃棄物の最終処分場
  地域環境への負荷の低減
 地球温暖化への対応を進めるため、平成17年度に発効した「京都議定書」において、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減目標が定められており、物流分野においても温室効果ガスの排出を抑制するための取り組みが求められています。特に、トラックなどの陸上輸送を二酸化炭素の排出量の少ない海上輸送へ転換するモーダルシフトの推進が大きな課題となっています。
 また、港湾においても温室効果ガス削減に向けた様々な対策が求められています。港湾に係留中の船舶は、船舶内の作業のために必要な電力を船舶の補助動力機関のアイドリングにより確保していることが多くなっています。船舶の補助動力のアイドリングは、陸上からの電力供給に比べ効率が悪く、二酸化炭素(CO2)の排出量が多くなっており、係留中の船舶からの温室効果ガスの削減を図る必要があります。また、酸性雨の原因となる窒素酸化物(NOX)や硫黄酸化物(SOX)なども排出しています。さらに、沿岸域は風・波・潮汐・海洋の温度差など豊かな自然エネルギーが存在しており、これらの自然エネルギーの生産拠点に適しています。このため、港湾への太陽光発電や風力発電など自然エネルギーの導入への取り組みが必要です。
 このため、以下の施策を推進します。
 
中国地方で生産・消費される衣服等の日用品や機械工業品などの雑貨の一部は内航海運などを利用して輸送されています。しかしながら、内航海運で輸送される雑貨の割合は平成17年では全体の19%に過ぎず、77%が自動車で輸送されている状況です(図1)。
 今後、環境への負荷の低減を図るため、モーダルシフトを推進するとともに、内貿ターミナル等の整備を進め、雑貨の内航海運による輸送比率を向上します。
 
図1 中国地方における雑貨の内航海運による輸送割合の推移(平成12年−平成17年)
 港湾は産業集積地に近接しておりエネルギー配送の面で有利であり、騒音・振動等による問題が比較的少ないため、自然エネルギーの生産拠点として高いポテンシャルを有しています。このため、技術開発などを推進し、港湾への太陽光発電や風力発電など自然エネルギーの導入のため、積極的な導入を図ります。
 また、港湾に係留中の船舶のアイドリングストップを推進するためには、港湾内に船舶に電力を供給するシステムを構築することが必要です。
 しかしながら、このような船舶への電力供給システムはこれまで統一されておらず、今後、国際的な標準化の動向を踏まえつつ、導入を検討していきます。また、アイドリングストップの推進には船舶側の対応も必要となります。
 
図2 接岸中の船舶のアイドリングストップのイメージ

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