−意見要旨−
<戸田部会長挨拶>
 本会議は6月に開催され、半年以上経っていますが、今年度の事業におきましては、一つは地方ブロックを超えた連携、もう一つには山陰諸港の国際物流の活性化、さらには荷主ニーズを把握するいわゆる利用者懇談会等の継続的な実施という3本柱がありましたが、今日この場で、これらに関連した重点的な検討事項の説明があり、どのような行動を持って行うかという提案があります。それについて皆様方からご意見をいただければと思います。昨今厳しい経済事情がございまして、こういう時こそ、将来を見据えて今やるべき事は何かを考えつつ行う、いわゆるアクションプランが非常に大事だと思います。もう一つこの戦略チームの中での大きな特徴というのは、このような形での場を作っている、利用者懇談会もそのような最先端での場と理解しています。行政だけではなく、民間、実際の現場での意見交換をし、検討していく場として必要であると思います。
 
中国地方港運協会
お願いしたいことが二つある。一点目は徳山下松港のスーパーバルクターミナルについて。
全国的にも初のケースであり、今後の運営の中で問題が生ずるようなことがあれば、業界と密接に相談しながら適切に進めてもらいたい。
二点目は広島港の整備計画について、出島地区には利用料金、背後地の整備等さまざまな問題を抱えており、利用者懇談会等を通じて申し上げているとおり。
この度の景気悪化に伴って年末年始の荷役実績もかなり落ち込み、現状は極めて厳しく、今後についても業界には大きな不安がある。中長期的な見通しも立てにくい。
整備計画を進めるにあたっては、業界の実情を十分に理解の上、業界との意見交換を十分に行いながら、総合的に競争力のある広島港の発展につなげていただきたい。
 
★シーゲートコーポレーション
広島港は輸出に偏った港で、コンテナの効率的な活用が課題。輸入の促進とそのための新たな貨物の取り込みが必要。
広島の115万人の人口を潜在的な需要の背景として雑貨や食品を扱えるようにすることが急務。
出島地区には岸壁(−14m)があり、昨年は12万2000TEUの取扱いがあった。10万TEUを超すと円滑かつ安定的な運用がなされているとされているが、そのうち3万8000TEUは空コンテナ。輸出が減ると空コンも減ることになる。
昨年12月まではまずまずの動きだったが、1月に入ってアジア地域の旧正月の影響もあって、現在は非常に厳しい状況。昨年4月までで使用料金の5年間の優遇措置も切れ、経済の悪化とも相まって業者は苦しい状況に追い込まれている。
中長期で第二バースの話もあったが、今、出島に求められるのは輸入貨物を取り扱える物流倉庫の整備。現在は輸入業者の要望に応えられるような施設がない。
岸壁(−7.5m)に荷役機械を設置して、背後地に物流拠点を整備するし、効率的な物流の流れを作ることで、輸入貨物を増やし、国際的な競争力を強化する。そうしたインフラの整備をお願いしたい。
 
★中国地方倉庫協会連合会
倉庫については、利用者懇談会の席上でも要望しているが、出島地区は土地代が高いためになかなか倉庫の整備が進まない。そこをきちんとしてもらいたい。
 
★東ソー物流
徳山下松港では、岸壁水深が整備済みでありながら、航路水深が整備されていない部分があり、潮汐利用による滞船が発生している。航路整備の推進をお願いしたい。
また、同港は、危険物のコンテナ貨物が多いが、ヤードでの危険物蔵置が認められておらず、バンニング、搬入の作業が船積み当日に集中している。他港では、危険物蔵置が認められているケースもあり、安全対策がなされた場合は、緩和措置をご検討いただきたい。
  
★中谷興運
コンテナ貨物について、水島港では右肩上がりで毎年1万TEUずつ増え、年間の取り扱いも10万TEU以上になった。
現在は、昨年末からの世界的な景気の悪化の影響で各メーカー工場の減産によって3割程度輸出減となっている。一方、輸入貨物が2割アップで、プラスマイナスで言うとピーク時の85%ぐらいで収まっている。
これまでコンテナバースの造成等を陳情してきたが、水島港にはいろいろな貨物がある。精油所が2つ、製鉄所が1つ、その他に雑貨や飼料等もある。しかしながら、一般貨物が扱えるのは水島地区、玉島地区に330mの在来バースが各1あるのみ。これから先は在来バースの整備も必要である。
また、水島航路については狭いところがあり、潮の流れも速いため入出港が難しい。また、港への出入りは大型船舶(全長200m以上)の入出港時では航路を一方通行で運用しているが、船の大型化に合わせて航路の浚渫や拡幅が必要。
港の発展のため今後とも協力していただきたい。
 
★第六管区海上保安本部
現在、海上保安庁では、AIS等を活用して、より効率的な港内官制を行うべく、港則法の改正作業を行っています。具体的な手法については、港ごとに検討されており、水島港については、平成22年度頃に委員会を立ち上げて、航路の効率的な利用に向けた検討を始めたい。その際には皆様方の協力をお願いしたい。
  
★中国経済連合会
広島港コンテナターミナルの機能強化について現状を把握するために現地を見てきた。
広島港は中国地方の中核の国際港湾であり、いかに拠点として中枢機能を高め、どう長期的に発展させていくかが課題。
第二バースの整備、耐震機能の問題、倉庫など長期的な目で早く整備しないといけない。広島南道路や広島高速2号線など、整備に5年かかるものなら5年先を見据えてやっていく。検討課題としては良いテーマだと思う。
関係者や地元のメーカーも含めて検討をしながら進めていきたい。
 
★中国地方商工会議所連合会
各地商工会議所で運輸関係の部会を運用している。今後とも国・県等の各機関と連携していきたい。
港の効率化の推進については期待と希望を持っている。よろしくお願いしたい。
 
★広島県
いろいろな形での分析や実際に利用されている方からの意見は大変ありがたい。
県としては出島の拠点性充実が大前提。他の地域の中核港湾と比較しても出島地区にコンテナ取扱施設が1バースしか整備されていないのは異常。できるだけ早い2バース化が必要。整備については国の支援を賜りたい。
使用料金や背後に利用地が足りないことや土地代や施設等の問題については、真摯に受け止めてやっていきたいが、景気が後退局面にあっては県の財政の問題もある。
利用者の率直な声はありがたく、重要と考えているが、ただちに減免するかどうかについては、県民に対してどう効果があるのかといった分析が必要。
料金を下げたり、施設を整備することが荷主に対してどう効果があるのか、県の中にどう効果が広がっていくか検討することの説明が必要。
料金、倉庫、土地代は一義的には港湾管理者の話だが、最終的に効果がエンドユーザーまで届くといった分析の手法等を国にはお教え願いたい。
シーゲートから輸入の拡大の話があったが同感であるが、輸入用の倉庫の話について荷主が先か施設が先かは鶏と卵の話のようなもの。輸入拡大に向けて施策の智恵が欲しい。
そろそろ広島港も世界の中での競争を考えていく時期。施設の充実やハンドリングオペレーションなど、国際的な標準について関係者とも議論させていただきたい。
 
★鳥取県
北東アジアゲートウェイ構想の説明があったが、DBSクルーズフェリーの貨客船が2月に試験運航し、4月には本格運航するという情報が県に届いている。
県では行政としてどのように支援していくか、民間にどれくらい使ってもらえるのかを検討し、調整を進めてきたところ。
境港に仮設のターミナルを現在建設中。とりあえずの受入れ体制はできた。将来的には別の場所に、港湾計画にある岸壁・ターミナルの整備が必要と思うが、航路が将来にわたって継続されることが最も重要なこと。
国土交通省で北東アジアゲートウェイ構想の推進に係る調査が行われており、国際交通ネットワーク形成構想のワークショップも開催されることになっている。CIQ関係機関にもこの航路就航のために御協力頂き、感謝している。
こういった経済情勢の中での新たな航路の就航。山陰だけでなく中国や関西等の広範囲のエリアがマーケットとなるし、韓国、ロシアの先にはシベリア鉄道を通じて欧州もある。
今後ともいろんな知恵を借りながら進めていくのでよろしくお願いしたい。
 
★島根県
浜田港について、昨年からRORO船が定期的に入って順調だったが、ここに来て状況が暗くなってきた。広島がバックにあっての浜田港。高速道路、高速から港へのアクセス向上が必要。
せっかく5万トンバースあっても航路としては暫定で現在3万トン程度。
今後も積極的に検討整備を進めていきたい。
 
★津守准教授
この会合の本来の目的は、中国地方の産業の振興、生活水準の向上を実現すること。
目的を達成するために、効果的な物流機能の集積や物流ネットワークの構築について検討している。
検討にあたっては三つの視点があり、それぞれに必要な対策がある。
一つ目は産業の振興と生活水準の向上という視点。
景気の後退によって貨物がない現状があるが、貨物の実流が増えない限り、物流の効率化を言っても意味がない。いかに物流事業者が良い仕組みを作って、安い料金で仕事を受けようとしても貨物がないことにはどうにもならない。
こうした現状のもとで、中国地方でどういった産業振興、生活水準の向上を図るのかという話がそろそろ出てきても良いのではないか。この点については、経産局に提示いただけると議論が建設的に進むのではないか。
二つ目は物流機能の集積という視点。
港湾にどういった機能を集積させるのか。ここには当然、ハードとソフトの二つの側面がある。
今日の会合では広島港の話が圧倒的に多かったが、中国地方の物流効率化を考えるときには、広島港だけでなく他の港も含めた上で、中国地方全体で効率化が図れるのかという視点が必要。
広島の物価が高いという発言があったが、広島港を安くしたらどうなるのか、他のところにどういった影響があるのかといったことも考えて効率化を図らないといけない。
調べてみないとわからないが、広島の物価が高いというのは逆に他のところの物価が安くなっているからかもしれない。
おそらくは神戸、大阪に国際物流機能を集積し、そこから物資が流れるという仕組みがあるために高くなっているのだろう。その点、岡山もあまり変わらないかもしれない。
いずれにせよ、他の港との調整、バランスを考えていく必要がある。
港運関係者から輸入用倉庫が必要、安い価格で提供して欲しいとの要望があったが、全くその通り。倉庫が高かったら誰も借りない。特に今のように景気が悪いときにはなおさらで、安い輸入用倉庫をどうしたら建てることができるのかというところで知恵を絞らないといけない。今後、港の整備を考える場合には安価な施設の整備・提供という視点がなければならない。
その点、段階的な整備という考え方も一つだ。14mの岸壁と7.5mの岸壁があり、7.5mの方に先行してクレーンを付けて欲しいという要望があったが、そうすることで大型船と小型船の輻輳による滞留も解消されるのではないか。
出島地区は物流機能を切り離した岸壁になっているため、物流機能が張り付くようなレイアウトを考えていく必要がある。しかも利用しやすいように安くしないといけない。
また、施設を使う物流事業者の企業能力の向上も重要。そうしないといくら港を整備しても貨物が集まらない。
港の整備を考えるには、港湾計画の地図上で二次元の姿で捉えるのではなく、港湾物流機能の担い手を考えた三次元でやっていく必要がある。
アジア域内の荷物は管内の港で全部扱うという話があったが、基本的に不可能だと思う。意気込みはわかるが、どんぐりの背くらべのように並んでいる瀬戸内地域においては、きちんとした役割分担を進める必要がある。その際、行政の側にも港ごとに格差をつけていくメリハリが必要。
三点目は物流ネットワーク構築という視点。
日本海と瀬戸内という二つの地域を考慮した形で、効率的なネットワークを構築するためにはどうするのかという視点で考えていかないといけない。
船会社は個々の港に船をつけているわけではなく、一つの航路の上につらなる複数の港に船をつけているため、航路上にある他の港との関係をどうするかといったことが当然必要となってくる。
中国地方の港が本格的なハブ港になることはあり得ない。ハブ機能は国内で言えば阪神港、海外で言えば釜山、上海に任せるとして、国内外の物流機能を集積した港との連携をどう図っていくのかという視点が必要。
内航フィーダーの活性化というのはまさにこうした考え方の延長線上にある。
内航フィーダーの充実は、荷主企業にとっても国際物流の多様化につながる可能性がある。
内航フィーダーの活性化を進めるにあたっては、既存の物流ネットワークの中でどう効果的に内航フィーダーを差し込んでいくのかということを考えていく必要がある。
さらに、内航船を運航するのは内航海運業者であることから、内航海運業の活性化が前提。そこまで踏み込んで議論していくことが重要。
基本的な考え方として、中国地方の港は釜山との連携の中で、どう神戸フィーダーを活用していくのかということを考えていかないといけない。
広島に現在ある内航フィーダーネットワークは釜山とか神戸フィーダーとは全く質が違うものである。神戸のフィーダーというのは欧米向け。広島の内航フィーダーは他のアジア地域の港までのアジア・フィーダーである。
したがって阪神港を海外と接続する港として利用する内航フィーダー機能と、広島港にアジア貨物を集める内航フィーダー機能のどちらを重視するのかという判断も当然出てくる。その辺の調整も必要。
他の戦略チームとの連携、担い手の調整が必要。