お知らせ

平成24年度 第2回 実りある学舎 「廃瓦の有効活用について【2題目】」

■講演1
 テーマ「廃瓦を利用した海域環境改善手法について」

- 概要 -

 石州瓦工場では出荷の際に厳しく品質管理を行い、寸法が基準値内に入らない瓦、変形やキズが認められる瓦は規格外瓦として取り除かれている(生産量の5~8%)。その規格外瓦はこれまで廃瓦とし廃棄処理されてきたが、近年、廃瓦破砕物をコンクリ-ト用骨材としての利用研究が進み、実用化され始めている。
 また、廃瓦の破砕物は適度な強度、比重、保水性を有し、更に表面が凹凸状のため通気性、透水性にも優れているため、路盤材、校庭の緑化・街路樹植栽工事(島根県、九州・沖縄)にも使用され始めている。
 最近では、環境改善・修復用の機能性材料として、鉄鋼スラグと廃瓦破砕物による環境配慮型藻礁(中海用)の試作、また河川・湖水の覆砂用としての利用実験(宍道湖に注ぐ十四間川)、砂状とした廃瓦破砕物中での二枚貝(ヤマトシジミ)の陸上飼育研究等も試みられている。
 これらの事例と石州瓦・廃瓦破砕物の特性、安全性等について講演して頂きました。

 

■講演2
 テーマ「廃瓦によるコンクリート構造物の性能向上について」

- 概要 -
 島根県で製造される屋根瓦は石州瓦と称され、その生産量は中部地方の三州瓦に次いで我が国2 番目である。石州瓦の年間生産量はおよそ200,000 トンで、その10%が不良品で廃棄されており、資源の有効利用や環境負荷低減の観点から再利用が強く求められている。その再利用方法の一つにコンクリート用骨材として活用する方法があり、これまでも研究がおこなわれている。しかしこれらはリサイクルの立場からより多量に活用したいとする研究である。
 一方、廃瓦は9%程度の吸水率、高強度人工軽量骨材の破砕値のおよそ1/2 と相対的の高強度である特徴を有し、廃棄物であるにも拘らず、構造用コンクリートの内部養生材として高い付加価値を有する骨材となり得る可能性を有する。
 コンクリートはセメント鉱物が水と反応して水和成生物ができるが、これは酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO2)、水(H2O)から成るため、反応時の水分の供給は極めて重要である。水分供給が不十分であったり気中乾燥に曝される場合は、セメント硬化体中の水分量や湿度が低下して水和が妨げられたり収縮を生じさせる。この悪影響は水分をより多く必要とする多量のセメントが使われる場合、すなわち高強度化や高耐久化を目指した水セメント比の小さいコンクリートで卓越する。
 多孔な材料を用いた内部養生という考え方は新しいものではないが、コンクリートの高強度化や高耐久化とともに、特にひび割れ制御の観点から、欧米を中心として発展してきた技術であり、内部養生材として軽量骨材や超吸水性ポリマー粒子が用いられている。問題点としては高強度化が十分図られないことや製造品であるためコストがかかることである。
 本講演では、これらの実情を踏まえ、上述した石州瓦の規格外品から製造した骨材を単なるリサイクル材ではなく、構造用コンクリートの付加価値の高い内部養生材として適用した場合の、強度、収縮、耐久性等への効果を紹介して頂きました。